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「Youth 向け Innovation 創造ワークショップ」ご感想 (Z会様)
2022.3.28

中学生向けにDesign thinkingのワークショップをさせていただきました、

米国ボストン Z会ラーニング・ラボ 責任者 草郷雅幸様より、ご感想をいただきました。

オンラインでのワークショップでしたが、参加の子供達のワークを、

Z会様のコーチの皆さんのサポートのもとに行えたことがポイントでした。

私にとっても学びの多いワークショップでした。

子供達の可能性は本当に無限。出てくるコメントやアイデアに、驚きをもらうことも多く、

私もとってもワクワクします。

 

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今回ご依頼させていただいたきっかけは、Z会ラーニング・ラボとして202110月に実施される「NASA International Space Apps Challenge (Space Apps)」に参加することでした。このSpace Appsプロジェクトを遂行するにあたり、小・中学生でも使えるフレームワークを探していました。私たちは、2020年にも中学生だけのチームで参加しました。その時の経験からSpace Appsで与えられた課題は現実的で複雑な課題であり、課題解決方法を提案するには、より深い課題に対する理解と解決方法の検討が必要であると私たちは感じていました。そこで、私たちはプロジェクトを遂行するプロセス自体から見直し、しっかりしたフレームワークを基盤に、このプロジェクトを遂行したいと考えました。その時に、西本様より小・中学生でも使える「デザイン思考」の話をいただきました。

 

デザイン思考については、「ユーザー起点で本質的なニーズを発見し、変革をおこさせるイノベーション思考」として、以前から私たちも、子どもたちがこれからの社会を生きていく上でとても重要なスキルだと考えていました。そんな中、西本様からデザイン思考ワークショップのお話を伺いました。このSpace Appsプロジェクトの課題は、現実的で複雑な課題です。そのため、当事者や関係者起点で本質的なニーズを掘り起こし、イノベーションにより課題を解決するというプロセスが、プロジェクトを進める際のフレームワークとして非常に相性がいいと感じました。というのも、Space Appsプロジェクトを進めるうえで、子どもたちが未来のことを考え、課題を発見し、解決していくという思考プロセスは、まさに「デザイン思考」のプロセスそのものだからです。さらに、Space Appsにある各プロジェクトは、単なるアイデアではなく、アイデアとして考えた課題解決が現実問題の課題解決につながり、誰かの何かの役に立つことが重要なので、より現実的な課題解決のアイデアにつながるからです。

 

 

 今回は小・中学生を対象にデザイン思考ワークショップを開催しました。参加者は小4~中学生の10名の方がご参加されました。ご参加の動機は、「宇宙に興味がある」「Space Appsに参加したい」というSpace Appsへの興味関心からのご参加が多かった一方で、「デザイン思考」に興味がある」「ぜひデザイン思考を身に付けさせたい」という保護者の方からの興味関心も多く、「デザイン思考」への関心が高いことが分かりました。

今回のテーマは「ごみ」についてでした。小・中学生にとって「ごみ」は、身近ではあるものの、普段あまり考える機会のないテーマだったためか、最初は戸惑っていました。しかし、自分ごととして考えられるようになると、とても活発に、積極的に議論していました。

 

今回のワークショップは、問題定義から簡単なアイデアをだすところまでの範囲でした。二人一組のインタビュー形式にして、インタビューをする側、インタビューをされる側に分かれ進めました。ユーザーとユーザーのニーズを掘り起こす人との役割に分かれて、それぞれの視点から共感を引き出したり、課題を掘り下げて定義したりする一連のプロセスを行いました。デザイン思考的な立場を設定することで、小・中学生は自分の考えと他者との考えの違いや他者のアイデアやニーズを知ったり、他者の考えを引き出したりすることの面白さや難しさを感じたのではないかと思います。例えば、ごみ捨てと環境美化というテーマに対して、ゲームを活用したアイデアであったり、ペナルティを与えるものであったり、ファッションとしてごみを持ち帰るアイデアであったり、個人の興味関心や生活背景をもとに、様々なアイデアが出てきました。それぞれの役割を感じ、演じながら、生き生きと楽しく議論できたのではないかと思います。

 

 

小・中学生と保護者の方からは、デザイン思考ワークショップはとても好評でした。初めての経験やテーマの設定もあったからか、「難しかった」という意見がありましたが、それでもワークショップがとても楽しく、わかりやすかった」という意見が多かったです。特に「ごみというテーマがよかった」、ごみ箱を題材にしたことで「色々な視点から改めて考える機会になったことが楽しかった」、「さらに自分でももっと考えてみたい」という意見もありました。また、二人一組のワークは、自分のアイデアや考えを言いやすかったようです。楽しくワークができて、次に自分でも何か取り組んでみたいと感じられたようで、小・中学生は、総じて前向きに積極的に楽しく取り組んでいたと思います。

 

 

実際にデザイン思考ワークショップを開催してみて、最初は、小・中学生を対象にした「デザイン思考」は難しいのではないかという不安がありましたが、テーマ設定と進行形式とファシリテーションにより、十分に小・中学生でもこのワークショップを進めることができると確認することができました。

今回は小・中学生ですが、これからの未来を生きる子どもたちにとって、「ユーザー起点で本質的なニーズを発見すること」「イノベーションを起こして現実の課題解決を進めること」は、今後必要となる汎用的な資質・能力になってくると考えます。そう考えると、学校において小・中高生(Elementary高学年以上)を対象にしたり、サマーキャンプなどで様々なテーマをキャンプ形式で議論したり、多くの子どもたちに「デザイン思考」で考える機会を、さらに増やすことができるのではないかと思います。色々なテーマで課題を考えていく経験を増やすことが、未来を生きる子どもたちにとって、貴重で大切な機会になりますので、このような機会が今後も増えていったらいいと思います。

今回のデザイン思考ワークショップはとても有意義なものでした。西本様には大変感謝しております。本当にありがとうございました。

 

 

Z会ラーニング・ラボ(ボストン) 責任者 草郷雅幸